クロスフィールドでは社内研修制度の1つとして、年に2回(春と秋)、全社員が参加する研修(研修Day)を実施しています。
今回は10/27(金)に「最新のITトレンドと、これからのビジネス戦略」をテーマに実施した研修Dayの模様を入社一年目の清内がお伝えします。
まずは、テーマの選定理由を研修委員会委員長の宮原さんにお伺いしました。
宮原:「クライアントに対して価値の高いコンサルティングサービスを提供するために、コンサルタントとして知っておくべき最新のIT関連ナレッジを身につけることが目的です。特にChatGPT等の生成AIの進化は目覚ましく、AIチャットボットを活用する企業なども出てきています。過去にも同テーマで研修は実施していますが、内容をアップデートするとともに最新のAIナレッジの習得も踏まえて選定しました。」
今回の講義は、『「DX」と「デジタル化」の違いを説明できますか?』という講師の問いかけから始まりました。自分では何となく理解できていると思っていましたが、説明しようとすると非常に難しいことに気づきました。
講義を通じて、デジタル化とはアナログ管理されていたものをコンピュータやネットワークで扱えるようにすることであり、DXとはデジタルを前提とした社会にあわせてビジネスや会社組織そのものを変革することであると理解できました。従って、ITツール導入によってある業務プロセスをデジタル化するという活動は、それだけではDXとは言えず、社員一人一人の行動様式や会社組織の仕組みすらも作り変えて、変化に俊敏に対応できる企業に生まれ変わること、それがDXなのだと学びました。
DX化が進んでいる企業ではデジタル化を目的にするのではなく、デジタル化を前提にビジネスを考えるといいます。講義の中では自動車メーカーを例として、モノ(自動車)を売るビジネスモデルから、移動という「サービス」を提供するモデルに転換する動きが進みつつあり、無人運転車両を活用した実証実験の紹介がありました。こうした転換を他ならぬ自動車メーカーが仕掛けていることをとても興味深く感じると同時に、ユーザが求めることの見極めがDX化を図る上で重要な視点であることを学びました。
既存のビジネスモデルを駆逐するデジタルネイティブ企業は、デジタルを前提として、既存の事業をいかに再構築するか、いかに顧客の体験を高めるのか、そしていかに短期間で実現するかを重視します。短期間のうちに最適化を図るサイクルを構築し、デジタルで出来ることは徹底的にデジタル化しています。既存事業を抱える一般的企業においても、そのことを理解し、デジタルを前提としたビジネス/組織に生まれ変わる必要性を学びました。また、デジタルネイティブ企業がクラウドを徹底的に活用し、デジタル技術を駆使して迅速に最適化を図り、顧客体験の向上に繋げる仕組みについて解説を頂きました。その中で、従来型企業においてもこの考え方や手法を取り込んでいくことの必要性を学ぶとともに、コンサルタントとしてクライアントのビジネスや組織変革を支援していくにあたって、仮説・実践・検証を圧倒的なスピードで実践していかなければならない、ということを心に刻みました。
講義の後半では、クラウドやアジャイル開発、AIといったITスキルの活用やナレッジについて学びました。
とりわけ、本日の講義資料(の一部)が生成AIを利用して作成されており、資料作成時間は従来の10分の1程度の時間と講師から明かされた際には、驚きを感じるとともに人とAIが果たす役割の明度もはっきりとしてきたことを実感し、テクノロジーの進化に悲観することなく、いかにテクノロジーを活用するか、こうした発想の重要性を再認識させられました。
今回の研修を一緒に受講した伊豫田さん、宿谷さんにも振り返って頂きました。
今回の研修を受けて感じたことを教えて下さい。
伊豫田:「ChatGPTや生成AIと共存していくために、AIと人間の役割の違いを理解すること、人間に求められる能力を理解し、向上していくことが大切だと感じました。AIを活用したツールは発達段階であるものも多く、情報に偏りや誤りがある場合もあるため、知識を持ったうえで活用していきたいです。」
宿谷:「毎回思うことは、ITトレンドとされる技術はどれも世の中の流れやビジネスニーズを汲んでおり、それぞれが密接に関係しているということです。従って、ITトレンドを正しく理解するため、各技術の背景やそれぞれの関連性を押さえることが必要不可欠だと思います。同時に、DXとデジタル化を混同している企業が多いことから、ITトレンドを正確に理解し、ビジネス戦略に織り込むことは非常に難しいとも感じています。コンサルタントという立場は、まさにそこのサポートが求められるわけで、クライアントやプロジェクトにどう落とし込むかを課題に感じています。」
研修内容で印象に残っていることを教えてください。
伊豫田:「AIを使いこなせる人間が、AIを使いこなせない人間の仕事を奪う」と教えていただいたことです。ChatGPT等の生成AIを使いこなせるかどうかで、生産性に何倍もの差が出るものだと感じ、スキル習得の重要性を感じました。」
宿谷:「恥ずかしながら、日本のIT業界の行く末(特に、SIerの将来)については、これまで本気で考えてきていませんでした。日本ではアジャイル開発に対応できるSIerが少なく、先進的なユーザ企業はシステム開発チームを内製化して自らアジャイル開発を行っているケースが増えているという話が印象に残っています。システム導入はITベンダーへ丸投げする、ウォーターフォール開発で進めるという考え方は未だ根強く、その前提を覆せないのはコンサルタントという立場としては、もどかしさを感じるところがあります。」
最後に、今回の講義から、今後のプロジェクトワークに活かしたいことを教えてください。
伊豫田:「変化が多く複雑化したニーズに対応するため、企業が”アジャイル企業”に変わることの必要性を学びましたが、個人ワークにも活かせる考え方だと思いました。短期間でのPDCAを繰り返しながら、業務の改善やブラッシュアップを行い、クライアントへの価値提供の質を向上していきたいと思います。」
宿谷:「現状の生成AIは、個人のスキルに依存した活用レベルですが、いずれは個人のスキルに依存しない活用がされる(会社内業務の一つとして組み込まれるなど)という話がありました。裏を返せば、現時点でも生成AIを使いこなせるか否かで、個人の生産性や品質が変わってくるということと思います。これまでも活用はしていますが、ツールの種類や対応機能は日々アップデートされているので、自主学習やプロジェクトタスクにおいて、より積極的に活用していきたいです。」
講義では、基本的な用語やアーキテクチャについても解説頂きました。私自身も含め、若手社員、特に新入社員は学びが多い研修になったと思います。また、当社が掲げる理念「クライアント目線で考える」の観点からも、ユーザが何を求めているか見極めることの重要性を再認識できた研修であったと思います。
末筆になりますが、CF通信委員会委員長のコメントで締め括ります。
井上:「本研修の数日後、親交のあるSIer(ERPベンダ)に赴き、SIerとしてAIやアジャイルをどの程度活用しているかのお話を聞いてきました。
生成AIを使用しているメンバーは非常に多く、ビジネスの中に浸透し始めていると感じました。しかしながら、取り扱っている製品がERPということもあり、アジャイル開発には二の足を踏んでいる状況でした。その代わりにアジャイルに近しいことを実現可能なアドオンモジュールを開発・販売しているそうです。
これからはアジャイル開発を積極的に活用していく必要性を感じる一方で、業種や採用するシステム等により、まだまだ各社間では温度差があるなと感じました。とはいえ、近い将来置き換わっていく開発手法であることは間違いないと考えますので、ステークホルダーの意見も取り入れつつ、最適な開発手法を模索していく必要があると改めて感じた貴重な機会でした。」