“Brexit”の衝撃
2019年3月29日に予定されていたイギリスのEU(European Union, 欧州連合。以下この表記)からの脱退は、最終期限を目前にして同年10月末までの延期が決まったものの、課題が山積したまま先を見通せない状態は変わっていません。2016年6月の国民投票にもとづくEU離脱(英国(Britain)の脱退(exit)を略して “Brexit”と呼ばれる)は、史上初の加盟国離脱であり、かつ当のイギリスが全加盟国中GDP2位の経済大国であることからしても、EUを理念と実利の両面で揺るがす事態であることは間違いないでしょう。
EUの抱える問題はそれだけではなく、この10年弱を振り返っても難民危機や財政危機といった事態が相次ぎ、不安定な世界の風潮に例外なく巻き込まれつつあるようにも見えます。EUは加盟国が個々の主権を制限して統合を目指す前例のない取組みとしてスタートしましたが、現在はその超国家的な理念そのものが試されている状況といえます。
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