連載2回目の本稿では、財務業務をサポートするためのシステム(=財務管理システム)について取り上げる。
借入や資金繰り管理等の財務業務は、ExcelやAccessなどを用いて管理される企業も多く、財務管理システムは、会計システムと比較して馴染みの薄いシステムかもしれない。だが、本システムは、企業の血液と言われる資金の流れを見える化し、タイムリーな資金管理を可能とし、経営判断を支える重要な武器となる。
財務管理システムの管理対象となる資金ポジションは、経営判断や企業を取り巻く環境に左右され、日々刻々と変化する。例えば、M&Aや設備投資の意思決定が行われれば、機動的かつ多額の長期資金が必要となる一方、不祥事などで物やサービスが売れなくなれば、予定通りの入金を得られず、運転資金の補填が必要となる。究極的には、資金不足により債務不履行が生じた場合、たとえ黒字経営であったとしても、企業活動が停止に追い込まれる。そのため、企業の財務担当者は、日々、資金の状況を把握した上で、安全かつ機動的に資金を確保するための手段の検討、体制および契約等の整備に励んでいる。
また、財務業務を遂行する過程では、取引先や従業員への振込時に発生する振込手数料、金融機関からの借入に要する支払利息やコミットメントラインフィーをはじめとした手数料等、多額のコストが発生する。そのため、多くの企業では、キャッシュ・マネジメント・システム(以下、CMSとする)等の施策を導入することで、財務業務から生じるコストの削減に努めている。
資金ポジションの見える化を実現し、CMS運営のためのシステムインフラとしての役割を担う財務管理システムは、財務業務の質を向上させるためのツールとなる。本稿では、財務業務の概要に触れた上で、財務管理システムに求められる機能要件および導入時の留意事項について整理を進める。
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